ファーストアルバム「緊急指令ＮＲ（爆）」の発売が１９８２年だから、世代的にはもうど真ん中のストライク。
しかし、Ｌｏｖｅｒｂｏｙ しかり、この手のメロディアスハードポップバンドって言うの？　今、無いよねぇ。

同じバンドに在籍していたブラッド・ギルス、ケリー・ケイギー、ジャック・ブレイズの３人に、キーボードのアラン・フィッツジェラルドが
加わり、そのアランの伝手でもう一人のギタリスト、ジェフ・ワトソンが加入という、テレホンショッキング的なバンド結成話自体はさして
珍しくないパターンだが、その「同じバンド」というのがポップ・ファンクバンドで、リーダーが元ＳＬＹ　ＡＮＤ　ＴＨＥ　ＦＡＭＩＬＹ　ＳＴＯＮＥ
のジェリー・マーティーニだったというのは、なかなかユニークだ。
何を演るにも、出来るだけ多様な音楽の演奏経験があればあるほど、ここぞという時、役に立つってことか。

ＶＡＮ　ＨＡＬＥＮ も ＢＯＳＴＯＮ もそうだったけど、 このバンドもやっぱりファーストアルバムが最高だと思う。
これって８０年代の傾向だったのか、デヴューまでに培ったものを全部ぶち込んじまったかのような、良質
且つ強力なファースト・アルバムが多かったような気がするなぁ、あの頃は。　

実際、彼らのファースト・アルバムにはバラードはない。ところがセカンドアルバムからの２枚目にカットされた
シングル／Ｓｉｓｔｅｒ　Ｃｈｒｉｓｔｉａｎが大ヒットとなると、続く３枚目以降は楽曲が段々地味になり、徐々に人気も
下降線をたどり始め、メンバー脱退を経て遂には事実上解散という、どっかで聞いたような話に落ち着く。
（最初に脱退したジャック・ブレイズによると、バラード路線は「レコード会社の意向によるもので、自分たちは
やりたくなかった」そうである。）

ツインリードにキーボードという、おいらの大好物編成のこのバンド。歌うドラマーが横向いて座ってるステージ
セットも特異だが、売りといえばやはり二人のギタリストだろう。基本、正統派ＨＲギタリストのジェフ（除：８本指
奏法）と、ブースター＆ロッキングアームを駆使したクリケット等、ギミック系奏法が売りのブラッド・ギルス。
曲の中でそれぞれのキャラを立てたソロ／バッキングを展開、そのコンビネーションの妙がこのバンドの大きな
魅力だったが、近年（２００７年以降）の活動にジェフは参加していない。それでもついこの間、最新アルバム
からシングルカットされた「カリフォルニア育ち」を聞いて、思わずにんまりしてしまったわいな。
「なぁんだ、こいつら。全然変わってないじゃん。」（笑）って。（Doobies が The Doctoer を出した時とおんなじ。)


折角だから、彼らのギターも軽く紹介しておこうね。

ジェフはやっぱりＬＰゴールドトップの印象が強いよね。アメリカ人が良くやる「コンヴァージョン」って奴で、元は
１９５６製のＰ−９０が載っていたゴールドトップに座繰りを入れて、ダンカンのジェフ・ベック・モデル（The JB?)を
マウントしたんだそうだけど、フロントにダブルホワイツのＰＵを載せたＬＰカスタムも使ってたよね？
それから、後にＨＡＭＥＲからシグネイチャーも出すけれど、これが又ユニークで、Ｓｋｙ　Ｇｕｉｔａｒのレスポール版
みたいな。ストップテールピースのギターなのに、ヘッド側で弦をロックするようになっているというのも
徹底しているというか、なんというか。


一方のブラッドのトレードマークギターがこれ。彼の登場後、赤いボディにＳＳＨ／フロイドローズのストラトが
あらゆる国産ギタ―メーカ―から発売されたと言っても過言ではなく、Ｍ．シェンカー・ブームの際にみられた
白黒フライングＶ乱発市場さながらの状況となった時期があった。

余談だが、ブラッド自身が出演した奏法解説ビデオの中で、このギターについて解説しているくだりがある。有名な話だが、ボディを
塗った赤い塗料は、ＮＩＳＳＡＮのフェアレディＺ（いわゆる２４０Ｚ）に使った残りなんだそうだ。また、装着されているペグのメーカーを
「ゴッチ」と解説し、日本語字幕もそのようになっているのだが、これはどう考えても「ＧＯＴＯＨ」製だろう。
ペグに刻印されたロゴの「Ｏ」は、確かに「Ｃ」に見えなくもない。（ＧＯＴＣＨ＝ゴッチ。）これが彼の勘違いなのか、あるいはギャグの
つもりだったのかは不明。

そう言えば、Ｔｏｍ　Ｊｏｈｎｓｔｏｎに引き合わせてくれた例の会社の社長さんの奥様がジェフの奥さんと
テニス仲間だとかで、俺がファンだってのを知って、こんなプレゼントを贈ってくれたこともあったっけ。（懐）

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