BOSTON

幻想飛行 ドント・ルック・バック

On Your Left
Boston − 幻想飛行 −

On Your Right
Don't Look Back



ボストンって、ここで紹介している中で唯一、「紹介できるアルバム数が少なすぎて困るバンド」じゃないだろうか。
1976年のレコードデビュー以来、既に35年近くを経過しているというのに、彼(等)がこれまでに残した作品は、
ベスト盤を含めてもアルバム6枚にすぎない。ファースト/セカンド・アルバムのインターバルこそ2年だったが、
それ以降のオリジナルアルバムはすべて、見事にきっちり8年おきに発売されている。

その為、多くのファンが「8年待てば次のアルバムが出る」と、半ば自虐的に新作を待っているわけだが、本来なら6作目にあたる
最新スタジオ盤が出るはずの今年2010年も、これと言ったニュースもないままに暮れようとしている。

なんでそんなに時間がかかるんよ?という話になれば、答えは一つ。「トムってそういう人なのよ(爆)」である。
何せ、MIT卒業の工学博士さんで完璧主義者、でもコンピューターは使わないのがポリシー、且つ、楽器演奏は
すべて彼一人の手でやらないと気が済まない、ということで、寧ろこのやり方で8年おきにあれだけのアルバムを
世に送り出したことを褒めるべきかもしれない。(笑)(Bon Jovi みたいなもんで、ソロプロジェクトの延長戦上に
あるプロモーションライブの為に、トム・ショルツが集めたメンバーによるバンドが BOSTON だと思っていい。
だからオフィシャルライブ映像もリリースされていないのだろう。)

もっとも、最初に彼と契約したCBSもそれほど気が長い方ではなかったようで、いつまでたっても3枚目を出そう
としない彼にしびれを切らし、契約も切っちゃったりした。それを受けた彼はここぞとばかり、8年の月日を費やし
サードアルバムをMCAから発表したわけだが、そりゃ8年もたてば人間も変わりますよってことなのか、上に挙
げた最初の2枚のアルバムに比べると何かが違う。挙句、今のところ最新アルバムとなる(8年前に発売された)
Corporate America からは女性ヴォーカル(ベースも担当)が加入したこともあって、自分のお勧めはどうしても
CBS時代の2枚になってしまう。(3枚目 Third Stage には、ヴォーカルのブラッド・デルプが参加していないと
いうのも個人的にペケ。)
もっとも、ファーストアルバムはその発売以来27年の間に1700万枚を打ったという記録が残っているそうだ
から、同じように思っている人は少なくないんじゃなかろうか?


シンセやコンピューターを廃し、地道に音を重ねていくトム・ショルツだが、彼のギターサウンドもかなりユニーク。
歪んでざらついているのに鼻が詰まったような、何とも言いようがない独特のトーンは、一聴して彼とわかる。
ギターは1968年製レスポール・ゴールドトップ、リイシューだ。元々はリイシューを謳いながらP−90搭載という
困ったちゃんだが、トムは Dimarzio Super Distortion (エース・フレイリー御用達)に換装して困ったちゃん度を
増幅して使用している。

一方、リードギタリストとして参加している バリー・グゥドローの貢献にも注目してもらいたい。

今回お勧めの2枚は、1970年代後半に花開き、新時代の訪れを予感させた名盤です。

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